2014年3月28日金曜日

台湾の太陽花学運についてのsmall talk

前回記事から半年近く経ってしまいました。
諸事情により暫く冬眠していたOccupyに学ぶ!ですが、この春から再開しますので、今後もよろしくお願いします!

今日は番外small talk。台湾で18日夜から学生が立法府を占拠している太陽花(ひまわり)学運に際して、ジローさんと話しました。

(追記)その後、国会議長による譲歩案を引き出したことを一定の成果として、4月10日に学生は議会から退去しました。最後の学生達のお辞儀や掃除のシーンにまた台湾らしさを感じました。詳しくは以下をご覧ください。

東洋経済online記事 台湾学生運動リーダー・林飛帆氏に直撃

http://toyokeizai.net/articles/-/34454
The Huffington Post記事 台湾、立法院占拠学生が退去 馬政権に重い課題
http://www.huffingtonpost.jp/2014/04/10/taiwan_n_5129920.html#slide=3534354


Aya: 台湾が大変なことになっていますよ。議会オキュパイなんてそうそうないことだし、お隣の国の民主主義の危機でもあるのでフォローしていきたいんですが、ジローさん、今回の学生の立法院(日本でいうところの国会)占拠を見ていてなにかコメントありますか?

Jiro: そうですね、立法院とそして行政院を占拠したってスゴイことですよね。

A: 3月18日以降、学生が立法院を占拠しています。で、排除するには国会で可決しないといけないけど、その国会が占拠されているので難しい、という話や、立法院は民主主義の象徴であるため、占拠している学生の排除は難しいという話を聞きます。

J: まあ、国会を占拠していても、超法規的に排除しようと思えば できちゃうはずなので、それをしていない、ということは、権力側が国家の脅威とまでは見なしていないということでしょうかね。

A: あと、何より国民の支持を得ているという事もありますよね。今回の行動は、非暴力を徹底していて、そして何より占拠している学生さんが優しくて礼儀正しいし、思いが伝わってくるんです。そのあたり、台湾のお国柄がでてるように思って。親の世代が勝ち取った民主主義(台湾は96年まで独裁制)を守りたいという強い意志があるのもわかるし、本当に頑張ってほしいなーと好感度大です。

J: 非暴力であることは国際的な支援に結びつきますよね。さらに礼儀正しさというのは、「高度な不服従」と言えるかもしれません。

A: でも行政院の占拠はすぐ排除されたし、流血画像も出回っていますね。

J: これ、流血というから警察20人くらいがわーっと暴力ふるってるかと思ってましたが、実際に画像を見ると、1人、2人なんですね。これは、組織的に暴力をふるうように命令がでていた、というよりは、イラッときた警官が個人的に暴力ふるったんじゃないでしょうか。

A: なるほど、同じ警察の暴力でも、命令あっての組織的なものか、個人的なものか、で違ってきますね。まあ、こちらとしては同じようにセンセーショナルに受け止めちゃうんだけど。
あと、行政院の方は、学生の運動が暴力的であることを印象づけるために権力側が運動とは別の人たちを送り込んだ、という噂も聞きますが。

J: それは世界中、どこの運動にもあるパターンですよ。権力側が「非暴力のデモ」を「暴力的なデモ」にしようとするんですね。デモ側が暴力をふるったとなれば、当局の暴力的手段をエスカレートしても国内、国際世論の支持を得られやすいですし。
これを防ぐためには、運動内で関係性やコミュニティの構築が大事です。運動の中で「知ってる人」「知らない人」が区別できるようになること。

ただ、アナーキストは口の周りをスカーフで覆っているし、オキュパイなんかでもマスクつけたりしますよね、あれは当局側に使われやすいんですね。


A: 誰だかわからないものね。

J: だから、警察がいないときはマスクを外すなどのエチケットが必要となってきますね。
あと、権力側による暴力とメディアというところで、「バックアップ・カメラマン」というのがあります。

A: それは何ですか?

J: 権力側が暴力をふるっている内容の映像が広まると支持者/デモ隊が増えますよね。それを権力側はわかっているので、まず、デモの前線にいるカメラマン達を排除する、またはカメラを取り上げようとします。で、その行為自体、暴力的にならざるを得ないんですが、そこを撮影するのがバックアップ・カメラマンです。
「メディアをターゲットに暴力をふるった」となると知識層の支持がアップする効果がありますね。
で、可能であれば、さらにそのカメラマン達をバックアップするカメラマンがいて、3人で1組の撮影隊だと理想的だと思います。
これは、高度な技術、情報戦のテクニックというところですが。

A: これは今後、オキュパイ関係で深めて行きたいテーマですが、今回の台湾の学生運動は、とりあえず急遽始めたという状況ですよね。

J: はい、見ていると運動としては洗練されているわけではないですね。オキュパイは60~70代の反戦運動家達、市民運動歴40年、50年という人たちも参加していて、彼らの話が聞けたというのが大きかったりします。

A: ところで、ひまわり学運を応援したい私は何をしたらいいかしら。情報を伝えて行くこと、くらいしか思いつかないのだけど。

J: Think globally, act locallyの原則を大切にしたいです。

A: そういえば、フランスで台湾を支持するデモがあったという写真を見ました。最新情報では30日に世界各国で台湾留学生を中心にデモがあるようですね。あと署名を働きかけている団体もあるし、支持している、という意思表示はしたいですね。

J: でも話を戻すと、抑圧されている側にとっては、情報の共有が最大の武器ですよ。一般に流布しているのは、多数側がコントロールしている情報ですし。
少数側に長くいると、真実に直面するのが上手になっていきます。

A: 台湾の学生さん、すぐにスライドを何カ国語にも訳してばらまいたよね。

J: あとは、台湾の権力側の情報収集をする、相手側を知る、というのもとても大事です。
抑圧する側の論理を知っておくのは、持続可能な運動には必要なことだと思います。

今、台湾の状況がどうなっているのか、多角的に見ようとすることで、自分のメディア・リテラシーを上げることができるんじゃないでしょうか。


A: そうですね、何故、マスコミの扱いが小さいのか、台湾の置かれている立場、日本との関係、いろいろ考える事はありまますね。今後も見守って行きたいですね。

当時の詳細情報はこちらからどうぞ。
台湾学生による今回の行動についてのスライド
http://www.slideshare.net/noexcuse/ss-32581194
現地からのルポ、オキュパイな雰囲気が伝わってきます。(8bitnews)
台湾滞在中の佐藤学先生からの速報(内田樹のブログ:佐藤学先生の台湾情報第三報から)
佐藤学先生の台湾速報その1
http://togetter.com/li/646735
The Huffington Post記事 台湾立法院を占拠する理由とは 若い女性が日本語でメッセージ【動画】
占拠に関するnaverまとめ


*次回、数ヶ月塩漬けになってしまっていた、オキュパイ2周年についての記事も近日中にアップ予定です。